さつまいものピュレがあちこちに飛び散っていました。離乳食を始めて3日目のことです。娘のリヤは、プラスチックの宇宙船のようなおさがりのハイチェアの中で左に傾いて座っていました。彼女が咳き込み、むせて、突然静かになった瞬間、私のER看護師としての本能が目覚めました。急いで娘を引っ張り出そうと手を伸ばしましたが、カチカチになった3点式ハーネスが外れません。最終的にトレイごと引き剥がし、オレンジ色のドロドロが入ったボウルをキッチン中に吹き飛ばしながら、なんとか娘を引きずり出して気道を確保しました。娘は無事でしたが、私は心臓がバクバクで血圧を下げる薬が必要なくらいでした。
離乳食のスタートがこれほど恐ろしいものだと気づいたのは、その日でした。そして、その恐怖の半分は、子どもを座らせる「家具」のせいです。初めての赤ちゃんのとき、離乳食なんてアボカドを潰して「ブーン、飛行機が口に入るよ〜」とやるくらいにしか思っていませんよね。赤ちゃんを座らせる物理的な環境が、食べ物をちゃんと飲み込めるか、それとも私の昔の職場(救急救命室)に運ばれるかを左右するなんて、誰も教えてくれませんから。
翌朝、私はそのプラスチックの宇宙船チェアをゴミ捨て場に放り込みました。そして、その後3日間、人間工学について調べまくりました。
カシューナッツのような姿勢での食事
聞いてください。この記事で一つだけ覚えておいてほしいのが、「食事のときの姿勢の重要性」です。あの古いイスに座っていたとき、「リヤちゃんの足、ブラブラしてない?」と聞いてくれたのは医師の友人でした。実際、娘の足は宙を蹴っていました。赤ちゃんの足がブラブラしていると、上半身をまっすぐ保つだけで体幹の力を使い果たしてしまうそうです。そうなると、安全に噛んで飲み込むための筋肉をコントロールする余裕がなくなってしまうのです。
足置きのない高いカウンタースツールに座っているところを想像してみてください。背中を丸め、カウンターに寄りかかり、モゾモゾと姿勢を変えてしまいますよね。そのバランスの悪い状態で、パサパサの鶏肉を飲み込もうとするところを想像してみてください。きっと喉に詰まらせてしまうでしょう。トレイの上にカシューナッツのように背中を丸めて座っている赤ちゃんは、まさにそれと同じ状況なのです。
医療界ではこれを「90/90/90の法則」と呼んでいます。つまり、股関節、膝、足首がすべて90度になる姿勢のことです。背中がしっかり支えられ、足の裏がフットレスト(足置き)にぴったりとついていれば、気道はしっかり開きます。なんだか口うるさい姿勢チェックみたいに聞こえるかもしれませんが、これがバナナの一切れでむせるかどうかを分ける本当に大きな違いになるんです。
5点式ハーネスの是非について
皆さんがどう思っているか、よくわかります。「もし赤ちゃんが喉に詰まらせたとき、すぐに抱き上げられるように肩ストラップは使いたくない」ですよね。公園にいるママたちからもよく聞く話です。それはごく自然な不安です。
でも、統計的には全くの逆なのです。
私はERで、こうした事故によるケガを数え切れないほど見てきました。小さな足でダイニングテーブルの端を蹴って、イスごと後ろのフローリングに倒れ込んでしまう赤ちゃん。あるいは、「もうご飯はおしまい!」とばかりに、腰ベルトしかしていなかったせいでイスの上に立ち上がり、キッチンのタイルへ頭からダイブしてしまう幼児。ハイチェアからの転落による頭部外傷で、毎年何千人もの子どもたちが病院に運ばれてくるのです。
喉に詰まらせたとしても、バックルを外す数秒の猶予はあります。でも、約1メートルの高さから落ちて頭蓋骨を骨折するのは、ほんの一瞬の出来事です。だからお願いです、5点式ハーネスを必ず使ってください。赤ちゃんが嫌がって泣き叫んでもです。チャイルドシートと同じように考えてください。これは絶対に譲れないルールです。
安いプラスチック製チェアの熱狂的ブーム
誰もが気になっている「あのイス」の話をしましょう。IKEAで売られているベビーチェアは、おそらくアメリカのダイニングルームの半分に置かれているんじゃないでしょうか。皆さんご存じの、あれです。白くて、たった15ドルで、裏庭でホースを使ってそのまま丸洗いできるイスです。

ママたちは、まるで宗教的な奇跡でも語るかのようにこのイスを絶賛します。私も義母の家用にと1つ買いました。
でもあれは、金属の竹馬の上に乗ったバケツのようなものです。箱から出したそのままの状態では、あの有名なIKEAのベビーチェアは人間工学的に最悪です。フットレストはありません。トレイは生後6ヶ月の赤ちゃんには高すぎて、食べ物がほぼあごの位置にきます。安全に使うためには、ネットで後付けの木製フットレストや、体を前に押し出すための空気を入れるクッション、さらに食器が滑らないようにシリコン製のランチョンマットなんかを買い足さなければなりません。
基本的な安全基準を満たすように改造する頃には、結局60ドルくらいかかってしまいます。自分でカスタマイズするのが苦にならないなら、それでも構いません。ただ、むき出しのプラスチックのシェルに生後6ヶ月の赤ちゃんをポツンと座らせて、「上手にモグモグしてね」と期待するのだけはやめましょう。
床置きシートと骨盤の傾き
床に置くタイプのシートについては、みんなすごくこだわりを持っていますよね。一時期は、ワインボトルのコルクのように赤ちゃんをむぎゅっと押し込む柔らかいウレタン製のイスを誰もが持っていました。その後、理学療法士たちが「股関節の発達に良くない」と反発の声を上げました。
今では、誰もがアップシート・ベビーチェアを大絶賛しています。理学療法士の友人によれば、このイスは骨盤の前傾を促してくれるそうです。簡単に言うと、背中が丸まらずに背筋をピンと伸ばした状態を保てるということです。我が家でも1つ買いました。私が洗濯物を畳んでいる間、リビングの床で3回くらい使ったでしょうか。確かにいいものですし、宣伝通りの役割を果たしてくれます。でも、離乳食を食べさせるために絶対必要かと言えば、そうではありません。「家中のすべての部屋に専用のイスが必要だ」なんてネットの情報に振り回されないでくださいね。
ベビーチェア選びで本当に大切なこと
私たちは最終的に、成長に合わせて組み替えられる木製のチェアを買いました。車のローンかと思うくらい高価で、決済画面で「本当にこれでいいのか?」と自問自答してしまうような代物です。お金を払うときは本当に心が痛みました。

でも、これが唯一、理にかなった選択でした。娘の成長に合わせてフットレストを完璧に調整できます。背もたれはまっすぐです。そして何より重要なのは、カピカピになったチーズが入り込んで取れなくなるような、変な隙間がないこと。歯ブラシを使わなくても掃除できるベビーチェアを見つけることは、子育ての戦いの半分を制したようなものです。
どんなイスを買うにしても、片手で泣き叫ぶ子どもを抱えながら、もう片方の手でサッと拭き取れるかどうかが重要です。「手洗いモードで洗濯機にかけ、自然乾燥させてください」なんていうシートカバーがついているなら、そんなものは迷わず燃やしてしまいましょう(笑)。
「発射台」をコントロールする
正しい姿勢を保つことは、食事の課題の半分にすぎません。残りの半分は、「食べ物をトレイの上にとどめておく」という戦いです。しっかりイスに固定された赤ちゃんは、自分のイスが重力をテストするための素晴らしい「発射台」になることに気づくのです。
あのさつまいも事件の後、私は普通の食器を使うのをやめました。そして、クマの顔のベビー用シリコンプレートを買いました。私は普段、あからさまに「赤ちゃん向け」のかわいすぎるデザインには拒否反応を示してしまうタイプなのですが、これは本当に優秀です。底の吸盤が驚くほど強力なんです。リヤがクマの耳を掴んでお皿ごと引き剥がそうとしても、木製のトレイにピッタリくっついたまま。深さもしっかりあるので、フチにご飯を押し当てて自分で上手にすくうことができ、おかげで床掃除の回数がぐんと減りました。
子ども特有の「食べ物同士が触れ合うのは絶対NG」というこだわりに対応するなら、ネコ型シリコンプレートがおすすめです。耳の部分が小さな仕切りになっています。ガッツリとした食事にはまあまあですが、「クラッカーから完全に隔離された3粒のブルーベリー」を要求されるときには完璧なアイテムです。
ヨーグルトやオートミールには、吸盤付きシリコンベビーボウルを愛用しています。見た目は普通のボウルで、ドロドロのものを入れるだけです。でも吸盤があるおかげで、娘がボウルを持ち上げて帽子のように被ることができなくなりました。我が家にとっては大勝利です。
ダイニングの家具の寸法であれこれ悩む前に、トレイの上に置く食器をアップグレードするだけで解決することもあります。離乳食コレクションを見て、本当に使える吸盤付きプレートを探してみてください。
まとめ
自分の口の使い方を学んでいる最中の小さな人間にご飯を食べさせるのは、ただでさえストレスがかかるものです。そこに、不安定なイスやブラブラの足がもたらすパニックまで追加する必要はありません。背筋をまっすぐ保ち、足をしっかり休ませる場所があり、肩をハーネスで安全に固定できるイスを見つけてください。もし見た目のおしゃれさが姿勢の悪化につながるなら、流行りのデザインなんて無視して構いません。
汚れるのは仕方のないことと割り切りましょう。トレイをサッと拭き、食べ物の感触を思い切り楽しませてあげてください。ただし、その間ずっと、背筋をまっすぐにして座っていることだけは確認してあげてくださいね。
幼児期を心穏やかに乗り切るためのヒントをもっと知りたい方は、下のQ&Aに進む前に、私たちの子育てガイドもチェックしてみてください。
チェア選びの疑問に対する、私のリアルな回答
フットレスト(足置き)は本当に必要?
はい、必要です。もしフットレストのないイスを買ってしまったなら、今すぐどうにかしてください。足がブラブラしている赤ちゃんは、安全に飲み込むことに集中できません。私も最初は「インスタの意識高い系ママたちが騒いでいるだけ」と思っていましたが、気道の仕組みを知って考えが変わりました。必要なら分厚い電話帳を脚にテープでぐるぐる巻きにしてでも、赤ちゃんの足裏が踏ん張れる場所を作ってあげてください。
肩ストラップはいつ外していいの?
正直に言うと、「普通のダイニングチェアに座っても立ち上がろうとしなくなる年齢」までは外せません。腰ベルトは骨盤を固定するだけのものです。落としたおもちゃを拾おうと前のめりになったとき、腰ベルトだけでは頭からの転落を防ぎきれません。5点式ハーネスは、幼児期にしっかり入るまで使い続けてください。
床置きのベビーシートでご飯を食べさせてもいい?
自分の腰を痛めたいなら止めはしません。床置きシートは、遊ぶときやサッとおやつを食べるときには便利ですが、1日3回、リビングのラグの上で前かがみになって離乳食をあげるのは、親の姿勢を壊します。それに、柔らかい床置きシートの多くは赤ちゃんの背中を丸めさせてしまうため、飲み込む練習を始めたばかりの時期には最悪の姿勢です。食事はテーブルでとるようにしましょう。
ドロドロになったストラップはどうやって洗うの?
これは本当に悩みの種ですよね。もしイスのストラップが取り外せるタイプなら、洗濯ネットに入れて洗濯機の冷水モードで洗いましょう。取り外せない場合は、私は使い古しの歯ブラシと食器用洗剤を使って、イスについたまま直接こすり洗いしています。オートミールがコンクリートのようにカチカチに固まる前に、食後すぐに拭き取るようにしてください。完璧にキレイにするのは無理ですが、やるしかありません。
どうしていつもテーブルから離れようと蹴るの?
物理の法則を発見して、それが楽しい遊びになっているからです。イスがダイニングテーブルに近すぎると、赤ちゃんはテーブルの端に足をピタッと当てて、後ろに向かって力いっぱい蹴り飛ばします。これのせいでイスが完全に後ろへひっくり返るのを見たことがあります。赤ちゃんのトレイとダイニングテーブルの間には、少し隙間を空けておきましょう。足で蹴るスペースを与えないことが肝心です。





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