クリニックの火曜日の午後シフトで働いていた時、パニック状態のお母さんが1歳半の子どもと、重くてやけに湿った布製のお人形を抱えてやってきました。待合室はいつもの冬の風邪っぴきさんたちで溢れかえっていましたが、その親子はすぐに私の目を引きました。子どもの咳がずっと止まらないというのです。そしてさらに気になったのは、その子がギュッと抱きしめているお人形が、まるで沼地で発酵させた高校のロッカールームのような強烈な臭いを放っていたこと。お母さんは疲れ果ててすがるような表情で、娘さんがお気に入りのお人形を、ここ半年間ずっと毎晩お風呂に一緒に入らせていたと打ち明けてくれました。医学の知識なんてなくても、そのお人形の中に黒カビがびっしり詰まっていることは明らかでしたが、それでも私はお母さんに優しく説明しなければなりませんでした。

いいですか、小さな子どもにお人形をプレゼントするのは、単なる「可愛らしい通過儀礼」だという大きな誤解があります。お人形を買って、おもちゃ箱に入れ、情操教育をしている証拠としておじいちゃんおばあちゃんに写真を送るだけ、と思っていませんか?でも、布製のぬいぐるみは基本的にバイ菌の温床になりやすい一方で、正しく扱えば、驚くほど効果的な脳の発達ツールにもなるんです。

多くの親御さんは、瞬きをする目がついていて、私の医療用スクラブより高い服を着た、一番大きくて高価な約45センチもあるビニール製の巨大なお人形を買うべきだと思い込んでいます。でも、それは間違いです。あんなものは重くて硬いだけ。幼児がきょうだいの目の前で、お人形の髪の毛を掴んで振り回しているのを見ると、救急救命室でのトラウマがフラッシュバックしてしまいます。そんな勢いで硬いプラスチックの塊を振り回す幼児の姿なんて、絶対に見たくないはずです。

小児科医がお人形遊びを推奨する本当の理由

先月、娘の健診で小児科医が教えてくれたのですが、幼児に布製の赤ちゃん人形を渡すのは、「親になるための練習」というより、「脳の共感中枢を刺激する」ためなのだそうです。娘が犬にオートミールを投げつける癖について相談していたとき、先生はさりげなく「お人形遊びをもっと取り入れてみては?」と提案してくれました。

どうやら最近、カーディフ大学からある研究結果が発表されたようです。脳画像の専門的なことまでは分かりませんが、要するに、赤ちゃん人形で遊ぶと「後上側頭溝」という脳の領域が活発になるそうです。ここは社会的処理(人との関わり)を司る部分です。驚くべきことに、子どもが部屋の隅で壁に向かってたった一人で遊んでいる時でさえ、この現象が起きていることが分かりました。子どもは自分の中で、他の人間とどう関わるかを練習しているというわけです。

時代遅れなジェンダーの固定観念から、男の子にお人形を買い与えない親御さんを今でも見かけます。でもね、娘さんと同じように、息子さんだって思いやりのない大人にならないように学ぶ必要があるんですよ。「共感力」を育てることは誰にとっても不可欠です。クリニックの待合室で、男の子がピンク色のベビーカーのおもちゃに手を伸ばすと、気まずそうな顔をするお父さんたちを何度も見てきました。でもこれは、ただの「人間関係の練習」なんです。将来「赤ちゃんの抱っこなんて分からない」と言い訳するようなパートナーに育ってほしくないなら、家の中で赤ちゃん人形を乗せたベビーカーを押させてあげてください。

そして子どもたちは、ありとあらゆることを練習します。ミルクをあげて、ゲップをさせて、寝かしつける。こうした遊びは、子ども自身が経験している毎日の忙しいルーティンを自分なりに理解するのに役立ちます。私の娘は、赤ちゃん人形にオムツを穿かせようと20分も奮闘しています。おかげで静かにしてくれますが、この時期のおもちゃの最大の目的は、まさにそれですよね。

安全なお友達の選び方

小さな赤ちゃん人形の現実的な扱いやすさについてお話ししましょう。約38センチというサイズが標準的であるのには理由があります。2歳児が標準的な約45センチの硬いお人形を運ぼうとしているのを見たことがありますか?まるで酔っ払いのレスリングみたいです。お人形につまずいて、自分の足の上に落とし、最終的には首を掴んで引きずり回すことになります。

少し小さめのサイズは、子どもの小さな腕にぴったり合うように計算されています。ラグビーボールみたいに小脇に抱えることができるんです。とても軽いので、階段を上る時もバランスを崩して私の救急外来に運ばれてくるようなことなく、自分でちゃんと運べます。

しかし、本当に重要なのは体の構造です。柔らかい布製の体のほうが安全です。ハイチェアから下の子の頭に落としても、脳震盪を起こす心配がありません。ただ、その布製の体はスポンジと同じなので、幼児のいる家では大きなリスクにもなります。

これが最初の「カビ」の話に繋がります。どんな事情があっても、絶対に布製の体を水に沈めないでください。汚れは湿った布でポンポンと拭き取る程度にしておきましょう。もし子どもがお風呂に一緒に入りたいとぐずったら、お風呂用のおもちゃとして完全なビニール製のお人形を買ってあげてください。布製のお人形を水浸しにして、子ども部屋に生物兵器を誕生させるようなことはしないでください。以前、数ヶ月使った音の鳴るお風呂のおもちゃの中身が気になって切り開いてみたことがあるのですが、まるでシャーレ(培養皿)のようでした。布製のお人形は中まで完全に乾くことがないので、その10倍は悲惨なことになります。

お人形の洋服のリアルな事情

お人形の公式ブランドの服を買おうとすると、破産してしまいますよ。小さなドレスに50ドルも払ったのに、たった3日後にはソファの下で埃まみれになっている…なんて親御さんを何度も見てきました。私自身の服だってセール品を買っているのに、布の塊にそんなお金をかけるわけがありません。

What actually fits in the wardrobe — What Pediatric Nurses Actually Think About Your Bitty Baby Doll

15インチ(約38cm)というのは業界の標準サイズなので、他社製の服がどこでも見つかります。もしくは、収納ボックスにまだ眠っているなら、未熟児サイズや新生児用の服を着せる手もあります。たった3週間でサイズアウトしてしまった我が子のロンパースを再利用するほうが、ずっと賢い方法です。

服といえば、お人形の着せ替えは、指先を使う絶好のトレーニングになります。ジッパー、スナップボタン、小さな袖ぐり。子どもにとっては途方もない時間がかかりますが、作業療法に通うより安上がりです。布の扱い方を学び、空間認識能力を身につけていきます。子どもがイライラし始めても、決して横から手を出して代わりにやってはいけません。小さなボタンと格闘させてあげてください。

子どもが実際に遊ぶおもちゃの意外な真実

日当たりの良い部屋の隅で、静かにお人形に絵本を読んであげてほしいと願うものですが、幼児というものはカオスです。彼らには変化が必要ですし、メーカーが意図した通りに遊んでくれることなんて滅多にありません。

お人形の隣で静かに遊べるようにと思い、Kianaoのジェントルベビー・積み木セットを買いました。静かに遊んでくれたという点では私の予想通りでしたが、想定外の方法でした。この積み木は柔らかいゴムでできているのですが、うちの娘はこれを犬に向かって投げつけるのが大好きなので、そういう意味で本当に素晴らしいです。フローリングに傷もつきません。小さな数字や果物の柄がついていて、基本的に壊れることはありません。シンクで洗った回数は数え切れませんが、硬いプラスチックのレゴブロックと違って、真夜中に踏みつけても激痛でのたうち回るようなことはありません。

その一方で、遊び着としてオーガニックコットン・ベビーボディスーツ(ノースリーブ・ロンパース)も買いました。インナーとしては申し分ありません。オーガニックコットンは柔らかく、湿疹ができやすい娘の肌にとても良かったですし、ポリウレタン入りで伸縮性も十分あります。でも正直に言うと、もしお子さんがトマトソースやブルーベリーなどを食べるなら、この無染色の自然素材の生地は確実にシミになって根に持ちます。乾燥して汚れのない綺麗な子どもに着せるなら、最高のベースレイヤーです。もしそんなツチノコのような幻の生き物を家で飼っている方がいらしたら、ぜひ私に教えてください。

低月齢の時期の遊びと不安との付き合い方

複雑なごっこ遊びができる年齢になる前も、何かしら子どもを夢中にさせるものが必要です。生後3ヶ月(いわゆる妊娠第4期)まではただ生き延びるだけで精一杯ですが、やがて赤ちゃんは目覚め、エンターテインメントを求めてくるようになります。

Managing the anxiety of early play — What Pediatric Nurses Actually Think About Your Bitty Baby Doll

そうした生後数ヶ月の間は、赤ちゃんが起きている時間をどう乗り切るかで必死です。マットの上に寝かせて、すぐに泣き叫ばないことを祈るばかりでしょう。

娘がお人形の存在すら知らない頃は、よく木製ベビージムの下に寝かせていました。おしゃれなA型のフレームで、リビングに原色のプラスチックをぶちまけたようなデザインではありません。小さな木のゾウさんも可愛いです。娘がその形を見つめている間、私にコーヒーを飲むためのきっちり6分間を与えてくれました。初期の追視や手を伸ばす練習には良いですが、1時間の平穏をもたらしてくれるなんて期待しないでください。あくまで木製のジムであって、奇跡を起こす魔法の道具ではありませんから。

ピカピカ光って大きな音が鳴る、電池の必要な騒がしいおもちゃに疲れ果ててしまったら、ベビー用品売り場のいつものカオスから逃れる静かな選択肢として、私たちの木製プレイジムやオーガニックのベーシックアイテムをぜひ覗いてみてください。

絶対に必要ないアクセサリー

傾けるとミルクが消える小さなプラスチックの哺乳瓶なんて必要ありません。ああいうのは大抵ひび割れて、中の謎の白い液体がラグの上に漏れ出し、深夜2時にパニックになって中毒事故の相談窓口に電話する羽目になります。私は電話の向こう側で、そういう相談を受けたことが何度もあります。誰にとっても楽しい時間ではありません。

中に磁石が入ったミニチュアのおしゃぶりも不要です。磁石と幼児の組み合わせは恐怖でしかありません。小児科医の友人にいつも言われるのですが、もし子どもが2つの磁石を飲み込んでしまうと、腸壁を挟んで腸がくっつき、穴が開いて緊急手術が必要になることがあります。磁石のついたアクセサリーは一切避けてください。心配の種を増やす価値なんてありません。

シンプルに行きましょう。余っているハンカチやタオルの端切れで十分ブランケットの代わりになりますし、キッチンの引き出しにある小さな木のスプーンでいいんです。どうせ子どもは、庭で拾った適当な木の枝を体温計に見立ててお医者さんごっこを始めるのですから、ブランドのお医者さんセットにお金を無駄遣いしないでください。

スムーズな取り入れ方

新しいおもちゃを取り入れる時は、プレッシャーをかけないことが大切です。人生の重大イベントのように大袈裟にしないでください。

赤ちゃん人形はおもちゃ箱にそっと入れておいて、子どもが自然に見つけるのを待ちましょう。写真のために照明を調整しながら、無理やりお人形を抱っこさせるなんてことはやめてくださいね。

背中をポンポンしたり、想像上のオヤツをあげたりして、愛する妹や弟のように接することもあれば、足首を掴んで階段から引きずり下ろし、廊下にうつ伏せで放置することもあるでしょう。どちらも発達過程において全く正常なことです。攻撃的に見える行動も、実は重力を試したり、自分の周りの環境をコントロールできるか実験したりしているだけなのです。お人形を壁に投げつけても、顔をしかめないであげてください。子どもにとっては、ただの物理学の実験なんです。

子どもたちは、世界がどう動いているのかを理解しようと一生懸命です。親の仕事は、その実験の最中に子どもが小さなプラスチックのボタンを喉に詰まらせないように見守ることだけです。

お部屋のインテリアを損なわず、謎の呼吸器疾患の温床にもならないような素敵なアイテムで、お子様のプレイスペースをアップグレードしてみませんか?プラスチックのおもちゃを見て気が狂いそうになる前に、ぜひ私たちの柔らかい積み木やオーガニックのベーシックアイテムを手に取ってみてください。

何歳ごろに買うべきですか?

かかりつけの小児科医は、1歳半頃がベストタイミングだと言っています。手当たり次第に何でもかじるのをやめて、「ごっこ遊び」で何かを食べさせる真似をし始める時期だからです。でも正直なところ、気を紛らわせるものが必要になった時ならいつでも大丈夫です。ただ、外れやすい小さなパーツがないかだけは必ず確認してくださいね。

布製のお人形は洗濯機で洗えますか?

絶対にやめてください。中の綿に水分が閉じ込められて、お人形の内部で科学実験(カビの培養)が始まってしまいます。汚れは濡れた布で拭き取るだけにして、二度と新品のようには戻らないことを受け入れましょう。幼児のおもちゃというものは、少しくらい使い込まれてボロボロに見えるくらいが普通なのです。

なぜ息子はお人形を投げるのでしょうか?

重力をテストしているからですよ。将来ひどい人間になるサインではありません。ただ、どれくらいの速さで落ちるのか、床に落ちた時にどんな音がするのか確かめたいだけなんです。放っておけばそのうち飽きて、今度はオムツを穿かせてみようとするはずです。

高価なアクセサリーを買う必要はありますか?

全く必要ありません。ブランドものはただのぼったくりです。タオルは立派なブランケットになりますし、空のペットボトルはミルクのごっこ遊びに最適です。浮いたお金で美味しいコーヒーでも飲んでください。どうせ子どもは、高価なアクセサリーよりもゴミ(廃材)で遊ぶほうが好きなんですから。

布製の体のお手入れはどうするのが一番ですか?

私は少し湿らせた布に、刺激の少ない石鹸をほんの少しつけて使っています。絶対に水に浸してはいけません。もし本当に耐えられないほど汚れてしまったら、諦めて捨てて、新しいものを買うしかないかもしれません。どうしても落ちないシミはありますし、フェイクの赤ちゃんの肌をゴシゴシこすって無駄にするほど、人生は長くありませんから。