妊娠34週目のことでした。大型手芸店のブーンと鳴る蛍光灯の下で、ネオンイエローのアクリル毛糸を3玉カゴに入れ、私は立ち尽くしていました。ホルモンバランスのせいか、お腹の赤ちゃんのために代々受け継がれるようなおくるみを編みたいという衝動に突然駆られたのです。編み物なんてしたこともないし、かぎ針すら持っていないのに。「毛糸なんてどれも同じだし、赤ちゃんは柔らかいものが好きだろう」くらいに思っていました。
しかし、ここで小児科看護師としての私の経験が顔を出し、その妄想は打ち砕かれました。
私はそのプラスチックのような毛糸を棚に戻しました。救急救命室(ER)で、こういうケースを嫌というほど見てきたからです。髄膜炎か人食いバクテリアにでも感染したんじゃないかとパニックになりながら、真っ赤な発疹に覆われて泣き叫ぶ赤ちゃんを抱えて駆け込んでくる親御さんたち。トリアージの現場はたいていカオスですが、10中8、9は、おばあちゃんが編んでくれたフワフワの安価な化学繊維のセーターをひと目見れば、原因はすぐに分かりました。「接触性皮膚炎」です。要するに、石油の副産物に対してアレルギー反応を起こしていたのです。
その時、私は繊維の真実を知り、ベビー用毛糸の「レストポステン(余り糸や在庫処分品)」に少しハマり始めました。高品質なオーガニック毛糸のクリアランス品を探すことは、私にとってまるで競技スポーツのようになりました。我が子の肌に粗悪なものを触れさせたくないという思いと同時に、だからといって自己破産するわけにもいかないからです。
新生児の肌の医学的な現実
聞いてください。以前、小児科医が「赤ちゃんの表皮は大人の20〜30パーセントほど薄い」と教えてくれました(どの医学誌を読むかで数字は多少変わると思いますが)。ここで言いたいのは、赤ちゃんの肌は基本的に穴だらけの紙のようなものだということです。何でも吸収してしまうんです。
ホルムアルデヒド系の染料で処理された安い毛糸で赤ちゃんを包むのは、その化学物質を直接血流にすり込んでいるようなものです。みんなが大好きなあの「フワフワした柔らかい質感」は、たいてい繊維が短くて毛玉になりやすいことを意味しています。その小さな化学繊維の毛玉が抜け落ちてベビーベッドの周りを漂い、最終的に赤ちゃんの口や気道に入ってしまうのです。呼吸器の観点から見れば、まさに悪夢です。
だからこそ、安全基準をちゃんと満たしている毛糸を探す必要があるんです。「エコテックス(OEKO-TEX)」のラベルがついているものを選んでください。「有害物質を含まない」と明記されているものが必要です。規制されていない商品は、手芸用品の仮面を被った化学実験のようなものですから。
クリアランスの毛糸を選ぶべき理由
高品質なオーガニックのベビー用毛糸は、驚くほど高価です。清潔さを保つための飼育や加工の基準を考えれば納得ですが、それでも最高級メリノウールの1玉の値段を見るとため息が出ます。
そこで登場するのが、ベビー用毛糸の「レストポステン」です。デッドストックやクリアランス品、つまりメーカーが処分しようとしている同じロットの余り糸のことです。このレストポステンを買うことは、とてもサステナブルな選択です。なぜなら、「去年の色だから」という理由だけで埋め立て地に行きそうになっている、完璧で高品質な繊維を救うことになるからです。お財布事情をしっかり考えながらも環境に配慮したい親御さんにとって、まさに理想的な方法です。
ただし、ちょっとした戦略が必要です。クリアランス品を買うときは、編みたいものに必要な量をその場できっちり買わなければなりません。「もう1玉」と後から買い足すことはできないのです。カーディガンの袖を編んでいる途中で足りなくなったら、そこで試合終了。同じロットの毛糸は二度と手に入りません。これは、忙しい夜勤中のトリアージに少し似ています。限られた手持ちの物資でどう乗り切るかを考える感覚ですね。
メリノウールが頼りになる理由
ここで「体温調節」についてお話しさせてください。多くの親御さんが、赤ちゃんの暑さの感じ方を根本的に誤解している気がするからです。

生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ人間としての機能が未熟です。震えて体を温めることもできないし、上手に汗をかいて体を冷やすこともできません。分厚いポリエステル混紡の服を着せると、こもった体熱でじわじわと茹でダコ状態になってしまいます。でも、メリノウールは違います。自然の体温調節機能があるんです。物理的な仕組みは完全に理解していませんが、繊維が空気を閉じ込めて暖かさを保ちつつ、暑くなりすぎた時は肌から湿気を逃がしてくれるそうです。まるで呼吸するような小さな快適空間(マイクロクライメイト)を作ってくれます。魔法みたいな素材で、小児科の専門家たちも睡眠環境にはメリノウールを推奨することが多いんですよ。
アクリル毛糸は基本的に「紡いだプラスチック」ですから、赤ちゃんのお部屋には絶対に置かないでください。
唾液という問題
赤ちゃんは、なめることで世界を探索します。あなたが編んだブランケットを噛むでしょうし、ウールのセーターの袖をしゃぶるでしょう。つまり、使う毛糸はすべて唾液に対して耐性がなければなりません。ドイツの基準で言うところの「Speichelecht(唾液・汗への染色堅牢度)」ですね。
もし毛糸の色落ちが唾液に強くなければ、染料が赤ちゃんの口の中に直接溶け出してしまいます。ヨーロッパには「EN 71-3」というおもちゃの安全基準があり、子供が噛んだときに素材から重金属が溶け出さないかをテストしています。もし見つけたベビー用毛糸のレストポステンがこの基準を満たしていないなら、棚に戻しましょう。
もしお子さんがどうしても何かを噛みたいなら、ラマのシリコン製歯固めを渡してあげてください。私も上の子が最初の奥歯を生やし始めた時に買いました。すごく良いですよ。本来の役割をしっかり果たしてくれて、子どもは耳の部分をカミカミしていますし、汚れたら食洗機にポンと入れるだけです。編んだブランケットの繊維を引きちぎって食べるより、食品グレードのシリコンをガジガジ噛んでくれる方がよっぽど安心です。
遊びの時間には、毛抜けが全くないものが好きです。うちのリビングの床には今、この赤ちゃんに優しいソフトブロックが散乱しています。柔らかいゴム製で、毛糸のおもちゃのようにホコリを集めることもないし、暗闇でうっかり踏んづけてしまっても壊れません。
ベースレイヤー(肌着)の戦略
世界で一番柔らかくて最高級のオーガニックウールのクリアランス品を見つけたとしても、やはり肌を守るバリアが必要です。ウールは素晴らしい素材ですが、赤ちゃんの胸に直接触れると、肌が敏感な日には少し刺激が強いことがあります。クッション役が必要なんです。

私はいつも、ニットを着せる前にこのオーガニックコットンのノースリーブ肌着を着せています。ひどい湿疹が出た後に見つけたんですが、正直、汗をかかせずにしっかりバリアを作ってくれるのはこれだけです。オーガニックコットンに少しだけストレッチが効いています。平らな縫い目で肌に食い込まず、洗濯機で50回洗っても形崩れしません。文句も言わずに仕事をしてくれる、私の一番お気に入りのベースレイヤーです。
オーガニックウールの下にオーガニックコットンを重ねることで、摩擦を起こさずに温かさを保つことができます。このシンプルな方程式のおかげで、後々の赤ちゃんの泣き声を随分減らすことができます。
オーガニックベビー服コレクションを見て、お住まいの気候に合うベースレイヤーを探してみてくださいね。
完成した作品の扱い方
自分にぴったりの毛糸を見つけて編み上げるのは、まだ半分終わったにすぎません。編みたてのものをそのまま赤ちゃんに着せるわけにはいかないのです。
まずは洗う必要があります。どれだけ清潔で厳しい認証を受けたオーガニックウールであっても、製造時の油分やホコリ、手芸店や倉庫に漂っていた何かが付着しているものです。ウール専用の無香料の優しい洗剤を使って、シンクで手洗いしてください。完全に形を崩したい場合を除き、ふきんのように絞ってはいけません。清潔なタオルで巻いて水分を押し出し、平らにして干してください。
ものすごく時間がかかりますし、かなり面倒です。でも、このステップを飛ばしてしまうと、せっかく避けたかった肌トラブルを引き起こすリスクがあります。
赤ちゃんが生まれる前に、他にどんなものが必要か悩んでいるなら、ぜひベビーケアコレクションもチェックしてみてください。
みなさんの質問にざっくばらんにお答えします
毛糸は本当に唾液に強くなきゃダメですか?
はい、本当に必要です。「絶対に物を口に入れない子」を産んだのなら話は別ですが、医学的にあり得ません。赤ちゃんは自分の袖を噛みます。染料がしっかり定着していなければ、染料を食べているのと同じです。不要な不安を抱えなくて済むように、唾液耐性の認証ラベルをちゃんと確認しましょう。
クリアランスのワゴンから違うロットの毛糸を混ぜて使うとどうなりますか?
お店の照明の下では「同じ色だ」と思っても、太陽の下に出た途端、片方の袖は温かみのあるクリーム色なのに、もう片方はくすんだ黄色だと気づくことになります。レストポステンが「余り物」であるのには理由があります。売り切れたら二度と手に入らないので、編み図で指定された量より20%多く買っておきましょう。
オーガニックメリノって本当にいいの?ただのマーケティング文句?
私は普段、高級ベビー用品として宣伝されているものにはかなり懐疑的なんですが、メリノウールは本物です。赤ちゃんの体温調節機能は本当に未熟です。メリノは呼吸し、環境に適応してくれます。一方、化学繊維は汗を閉じ込めてしまうだけ。私なら、安っぽいアクリルの綺麗な毛糸を10玉買うより、ちょっと色がイマイチな本物のメリノのクリアランス品を1ロット買います。
ベビーニットは洗濯機で洗えますか?
基本的にはダメです。洗濯機で洗えると謳っている防縮加工のウールもありますが、私は自分のセーターを洗濯機で何着もダメにしているので信用していません。シンクで手洗いしてください。面倒ですが、繊維がフェルト状に固まってカチカチの着られないレンガになってしまうのを防ぐ唯一の方法です。
高品質なウールでもアレルギー反応が出たらどうすればいいですか?
そういうこともあります。とにかく肌が超敏感な子もいますから。オーガニックメリノでも湿疹が出てしまう場合は、下に厚手のオーガニックコットンのベースレイヤーを着せてみてください。それでもダメなら、そのセーターは誰かに譲って、すべて綿100%のものにしましょう。親が着せたい服ではなく、目の前の赤ちゃんの体質に合わせてあげるのが一番です。





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