2019年のこと。リビングのシーリングファンに、サツマイモのペーストがべっとり張り付いていました。みなさん、ちょっとした飛び散りなんかじゃないですよ。重力に逆らうような、どっしりとした塊です。私が「飛行機ブーン」って口に運ぼうとしていた硬いプラスチックのベビースプーンを、長男(悪気はないんですけどね)が見事に空手チョップしたんです。私はオレンジ色のドロドロまみれで座り込み、「食事ってこんなに大変なのに、人類はどうやってここまで生き延びてきたんだろう」と本気で考えていました。
当時の私は初めての育児中で、睡眠時間はたったの3時間。やることなすこと全て裏目に出ていました。実家の母からは「あなたがこれで食べる練習をしたのよ」と、90年代初期の先が金属になった恐ろしいスプーンを譲り受けていました。それが息子のむき出しの歯茎にカチンと当たるたびに彼は泣き叫び、私はシャツが透けるほど冷や汗をかき、最後は二人で泣き崩れる始末。前日の夜にも「おすすめのベビースプーン」を探して何時間もネット記事をスクロールしたのに……。生後6ヶ月の赤ちゃんにスプーンを持たせるなんて、手元の狂った小さな酔っ払いに投石機を渡すようなものだなんて、誰も教えてくれませんでした。
ぶっちゃけて言いますね。赤ちゃんに自分で食べる練習をさせるのは、インスタグラムで見かけるような、パステルカラーのおしゃれで素敵な道のりなんかじゃありません。あちこちベタベタになって、むせて吐き出しそうになって、洗濯物が無限に増える過酷なマラソンです。でも昨年、3人目の子が離乳食を始める頃には、キッチンの壁紙を張り替えずにこの時期を乗り切る方法を、私もようやく掴めるようになっていました。
小児科医が教えてくれた、赤ちゃんの「えづき反射」の本当のところ
シーリングファンの大惨事の後、私はパニックになって小児科のデイビス先生に電話しました。息子はただ食べ散らかすだけでなく、あまりにも激しくえづくので、「毎週火曜のランチのたびにハイムリック法(気道異物除去法)をしなきゃいけないんじゃないか」と本気で思い詰めていました。「この子の喉の構造がおかしいのか、それとも私が母親としての適性テストに失格したのかも」と不安でいっぱいのまま、彼を病院へ連れて行ったのです。
先生はちょっと笑って、私の額の汗を拭くためにティッシュを渡してくれ、こう教えてくれました。「赤ちゃんのえづき反射(嘔吐反射)のポイントは、大人よりもずっと口の手前にあるのよ」。生後6〜7ヶ月頃になるとその反射ポイントが自然に奥へ移動する……みたいな専門的なことも言っていましたが、睡眠不足の私の脳内では「喉に詰まらせてるんじゃなくて、単に大げさに反応してるだけ」とだけ変換されました。
デイビス先生の説明によると、えづくこと自体は実は安全機能で、ドロドロの食べ物を気管に吸い込まずに舌の上で転がす方法を学んでいる、ごく正常な過程なんだそうです。そして、祖母が「絶対これ!」と推していたあの中世の拷問器具のような金属スプーンは片付けるよう、やんわりとアドバイスされました。歯の生え始めでデリケートな歯茎に硬い金属を当てるなんて、ハンガーストライキを引き起こすようなものだからです。食器というよりも、むしろ噛み固め(歯固め)のおもちゃのような、柔らかい素材のものがベストだそうです。
本当に役立つアイテム(と、買わなくていいもの)
スプーンを上手に使えるようになるための秘密を知りたいなら、それは離乳食を始める前から始まっています。まずは「自分の目をうっかり殴らずに、自分の意思で手から口へモノを運ぶ」という動きをマスターしなければいけないんです。

2人目の子の時に気づいたんですが、歯ぐずりと食べる練習って実はセットなんです。歯茎がムズムズしている時、赤ちゃんはとにかく何かをガジガジ噛みたがります。私のお気に入りは、Kianaoのパンダの歯固め(シリコンティーザー)です。リビングでEtsyの注文の梱包作業をしている時、この平べったい小さなシリコンのパンダに私の精神の安定をどれだけ救われたか、大げさじゃなく本当に感謝しています。平らで幅広な形をしているので、むちむちの小さなおててでもすごく握りやすくて、凹凸のある縁をガジガジするために口へ運ぶ練習を、息子は何週間もやっていました。その1ヶ月後、食べ物をのせたスプーンを本格的に手渡した時には、すでに目と手の協調運動がバッチリ仕上がっていたんです。口というターゲットの位置を完全に把握していましたから。
ちなみに、うちの母がどこかで「スプーンを正しく持つには『手掌把握(手のひら全体で握る力)』を育てる必要がある」と読んできたらしく、やわらかベビー積み木セットを買ってくれました。うん、別にモノ自体は全然悪くないんです。色も可愛いし、柔らかいから夜中に裸足で踏んづけても痛くないですしね。でも正直に言うと、それで魔法のようにオートミールをすくえるようになったりはしませんでした。私が「もうひと口お豆食べよう?」と必死にお願いしている間、真ん中の子はだいたいその積み木を、犬に向かって投げる柔らかい飛び道具として使っていましたから。
離乳食のペースト期における最大の問題は、何と言っても「洗濯」です。1日3回、赤ちゃんをすっぽんぽんにする覚悟がないのなら、ガンガン洗える服が必要です。私は硬くて着せにくいおしゃれ着はやめて、オーガニックコットン・ベビーボディスーツのような服に完全に切り替えました。よく伸びるので、カピカピになったアボカドまみれの頭からでも髪を汚さずにパッと脱がせられるし、オーガニックコットンだから、安物の化繊みたいに油汚れが染み付いて取れないなんてこともなく、本当にすっきり綺麗に洗えるんです。
これから始まるドタバタの離乳食サーカスに向けて準備をするなら、お姉ちゃんからもらった大切なお下がりをダメにしてしまわないように、頼りになるベビー服コレクションから、洗いやすいベーシックなアイテムをいくつか揃えておくのがおすすめです。
見た目がおしゃれな「柄の長いスプーン」が最悪な理由
みなさん、よく聞いてください。ミニチュアのカヌーのオールみたいな、細長くて見た目がおしゃれな木製スプーンは絶対に買わないでください。一人目の時にダイニングテーブルに合うからって理由でセット買いしたんですが、私がこれまで使った15ドルの中で、ダントツで一番無駄な買い物でした。

赤ちゃんは、私たち大人と同じようには物を持ちません。原始人みたいに、柄の根元を小さな拳でグッと握りしめるんです。生後8ヶ月の赤ちゃんに細長くて柄の長いスプーンを渡しても、バランスなんて取れません。てこの原理が働いて、口に運ぼうとした瞬間に食べ物が肩越しに後ろへ吹っ飛んでいきます。さらに悪いことに、柄が長すぎると、なんとか口に入れたとしてもストッパーがないので、扁桃腺の奥深くまで突っ込んでしまい、さっきお話ししたあの「激しいえづき反射」を引き起こしてしまうんです。
スプーンに必要な条件は「短くて、太くて、不格好なこと」です。汗ばんだ小さな拳にぴったり収まるずんぐりした持ち手が必要不可欠で、絶対に「のど突き防止ガード」がついていなければいけません。このガードというのは、すくう部分の手前が広くなっているだけの構造ですが、スプーンが口の奥深くに入るのを物理的に防いでくれます。見た目は美しくないかもしれませんが、マッシュバナナを喉に詰まらせて顔を真っ青にしている我が子を見るよりはずっとマシです。
あとお願いだから、200ドルもする高級離乳食メーカーを使って、ファーマーズマーケットで買ったオーガニックの根菜をわざわざ茹でたり蒸したりする話はしないでくださいね。どうせ猫に向かって吐き出されるのがオチなんですから。
素晴らしい「おとりスプーン」作戦
3人目が生まれる頃には、私は完全に生存本能だけで動いていました。食べ物を投げ飛ばされたり、スプーンを奪い合ったり、食事のたびにプロレスみたいな乱闘をする忍耐力はもう残っていませんでした。そこで私がついにマスターしたのが「おとり作戦」です。
生後10ヶ月くらいになると、赤ちゃんは自分に自由意志があることに気づき、「ご飯は自分でコントロールする!」と断固として主張し始めます。親がスプーンを持とうとすると、小さな用心棒みたいに手首をガシッと掴まれ、持ち手の奪い合いになり、食べ物が宙を舞うことになります。そこで、彼らと戦う代わりに、ハイチェアに座らせて、短いシリコンスプーンの先に濃厚なギリシャヨーグルトをペタッと乗せて渡してあげるんです。赤ちゃんが自分でそれを持っている間に、全く同じデザインの「2本目のスプーン(本命)」を使って、こっそり親が食べさせてあげます。
「自分のスプーンを持っている」という事実が、「このキッチンのボスは自分だ」という赤ちゃんの生物学的な深い欲求を満たしてくれます。その隙に、あなたが持つもう1本のスプーンで、しっかりとカロリーをお腹の中に入れてあげるわけです。厳密なスケジュールを守る必要も、背筋をピシッと伸ばして合図を待つよう強制する必要もありません。ずんぐりしたスプーンを渡し、本人のタイミングで前のめりになるのを待ち、そのまま自分の眉毛にヨーグルトを塗りたくらないことをひたすら祈るだけです。
やがて、大体1歳半くらいになると、脳の中で何かがカチッと繋がります。あんなに激しくバンバン叩きつけていたのが落ち着き、お皿をただ突っつくだけだったのが、ちゃんと「すくう」方法を理解するんです。ゆっくりで、散らかり放題の道のりですが、ある日ふと目をやると、子供が自分で静かにアップルソースを食べていて、あなたは淹れたての温かいコーヒーをゆっくり飲める……そんな日が間違いなくやって来ます。
このベタベタな育児の新章をスタートさせる前に、ぜひKianaoのベビー向け必須アイテムの全コレクションをチェックしてみてください。皆さんの健闘を心から祈っています!
FAQ:スプーン格闘期を乗り切るためのQ&A
スプーンを床に投げるのを、本当にやめてくれるのはいつですか?
正直に言うと、「親が拾ってくれるというエンターテインメント」に飽きた時です。我が家の場合、「落とすゲーム」のピークは生後10〜12ヶ月頃でした。赤ちゃんはママを怒らせようとしているわけではなく、「落としたら本当に毎回下に落ちるのか?」と真面目に重力の実験をしているだけなんです(はい、確実に落ちます)。おとりのスプーンを持たせておき、汚れた本命のスプーンは手の届かないところに置いて、とにかくこの時期をやり過ごしましょう。たいていの場合、2歳になる前にはちゃんと理解してくれますよ。
食べ物を乗せる部分じゃなくて、柄のほうばかり噛んでいるんですが、大丈夫ですか?
全然大丈夫です!特に生後6〜9ヶ月頃は、歯の生え始めで歯茎が熱を持ったようにムズムズしています。そんなデリケートな歯茎にとって、シリコン製のベビースプーンの噛み心地は最高なんです。反対側をガジガジさせてあげてください。「どこまで口に入れたらえづくのか」を学ぶ良い練習になりますし、それこそが「自分で食べる練習」の半分を占めているようなものですから。
スプーンって、本当に何本くらい買えばいいんでしょうか?
20本セットみたいなものは買わないでください。そんなに必要ありません。ものすごくケチな私が保証しますが、使い勝手の良いものが3〜4本あれば十分です。食洗機の中、マザーズバッグの中、赤ちゃんの手の中、そしておとり作戦用のママの手の中、それぞれに1本ずつあれば回ります。それ以上持っていても、結局は車のシートの下で行方不明になって永遠に出てこないだけです。
ごちそうさまの後、どうしてもスプーンを離してくれない時はどうすればいいですか?
物々交換です。眠くて機嫌の悪い幼児が死に物狂いで握りしめているスプーンを無理やり引き剥がそうとしても、勝ち目はないし大泣きされます。私はいつも、食事が終わる頃に濡らした温かいおしぼりをテーブルに持って行きます。おしぼりを差し出すと、子供は温かいお湯をチュウチュウ吸いたくてそれを掴み、スプーンから手を離してくれるんです。80%の確率で魔法のようにうまくいきます。残りの20%は、私自身がもう戦うのに疲弊しているので、汚れたスプーンを握りしめたままリビングへ行くのを許してしまっています。
スプーンの持ち方が変な時、直してあげたほうがいいですか?
いいえ、一生懸命食べているんですから、そのままにしてあげてください。こん棒を持った原始人みたいな握り方(手掌把握)の時期が、この先もずっと続きます。彼らの小さな手は、まだ鉛筆のようにカトラリーを持てるほどの筋肉が発達していないんです。食べ物がなんとなく顔の周辺に運ばれているなら、上出来ですよ!





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