シカゴの自宅の裏庭にあるパティオでのこと。湿度が90%近くもあるうだるような日に、義母が何気なくハンドバッグから小さなステンレス製のカップを取り出しました。彼女はキッチンの水道水をそれに入れ、生後2ヶ月の息子のほうへ向かって歩き出したのです。誤解しないでくださいね、私はお義母さんが大好きです。でもその時ばかりは、パレードに飛び込んで大統領を守るシークレットサービスのごとく、そのカップを全力で阻止しました。彼女は私が頭でもおかしくなったかのような顔をして、「落ち着いて、この子は喉が渇いているだけよ」と言いました。汗をかいている赤ちゃんに水を飲ませようとするのは、文化的に深く根付いた本能のようなもの。それに逆らうと、心配性すぎる新米ママだと思われがちです。でも私は、元小児科トリアージナースとして、良かれと思った親戚が「母乳だけじゃ喉の渇きは癒やせない」と判断した時に何が起こるか、いやというほど見てきたからこその行動だったのです。
「赤ちゃんはいつから水を飲めるのか」という議論は、夏のバーベキューでは必ずと言っていいほど世代間のバトルを引き起こします。8月になると、私の祖母からのWhatsAppのメッセージは「赤ちゃんにお水をあげなさい」という言葉だけで埋め尽くされます。以前、地元の保育園で「赤ちやん(※原文ママ)のお水スケジュール」と手書きされた貼り紙を見たときは、イライラして左目がピクピク引きつってしまったほどです。でも、あなたが嫌われ役を買って出てでも、赤ちゃんからお水を取り上げなければならないのには、とても退屈で、でも非常に深刻な生理学上の理由があるのです。
ブドウサイズの腎臓の事情
生後6ヶ月未満の赤ちゃんがなぜ水を飲んではいけないのかと聞かれたら、私はいつも「2粒の小さくて、まだあまり役に立たないブドウを想像してみて」と答えます。それが、生まれたばかりの赤ちゃんの腎臓の本来の姿なのです。小さくて未熟で、ただの水を処理する能力は全く備わっていません。
小児科病棟で働いていた頃、水中毒のケースを時折見かけました。正式には低ナトリウム血症と呼ばれ、赤ちゃんがただの水を飲みすぎることで、血中のナトリウム濃度が薄まってしまうことで起こります。ナトリウムは脳を正常に機能させるための要素なので、それが急激に低下すると脳が腫れてしまうのです。「子供を涼ませてあげたかった」という親心からくる軽症のケースは数え切れないほど見てきましたが、ほんの数オンス(数十ミリリットル)の水道水が原因で赤ちゃんが痙攣を起こす姿を目の当たりにすると、親としての価値観が根本から変わります。私のかかりつけ医であるメフタ先生も、生後2ヶ月の健診で「粉ミルクは基本的に85%が水分です。それ以上薄めたり、水を追加で飲ませたりするのは、まだ訓練されていない赤ちゃんの腎臓に無理な仕事を押し付けるようなものですよ」と念を押してくれました。
また、胃の「空き容量」の問題もあります。新生児の胃は大きめの卵くらいのサイズしかありません。その卵の半分をカロリーゼロの水で満たしてしまえば、当然ミルクを飲む量は減ってしまいます。胃が膨らんでいるので授乳の時間を寝過ごしてしまい、体重は落ち、母乳育児ならママの母乳の分泌量も激減します。「さっぱりした飲み物が必要かも」と良かれと思ってやったことがきっかけで、あっという間に栄養不良の悪循環に陥ってしまうのです。
魔法の「生後6ヶ月」の変化
生後6ヶ月頃になり、お座りができるようになって、野生動物のようにあなたの食べているご飯をじっと見つめるようになったら、離乳食開始のサインです。これは同時に、お水解禁のサインでもあります(ある意味では、ですが)。メフタ先生も水をあげ始めていいと言ってくれましたが、それは水分補給というよりも、あくまで「練習」として捉えるようにとのことでした。

生後6ヶ月から12ヶ月の間は、1日にわずか4〜8オンス(約120〜240ml)程度しか必要ありません。しかもそのほとんどは、スタイ(よだれかけ)や床にこぼれたり、うっかりむせて派手に咳き込んだりして終わります。目的はあくまで、コップやストローを使う仕組みを教えること。1日の水分補給ノルマを達成することではないのです。
この時期について誰も教えてくれないのが、コップの練習を始めると、たいてい歯ぐきのむず痒さが大爆発するということです。冷たい水が気持ちいいのか、赤ちゃんはコップの縁やスプーン、テーブルのトレイ、そしてママの指まで激しく噛み始めます。この壁にぶち当たった時、私はパンダの歯固め(シリコン&バンブー製)を見つけるまで、ネットで手当たり次第にグッズを買いあさりました。普段は可愛すぎるベビー用品には懐疑的な私ですが、これは実質的に破壊不可能です。食品グレードのシリコン製なので、スーパーの駐車場で落としても大丈夫ですし、食洗機の除菌モードで洗っても有毒なドロドロに溶けたりしません。平らな形をしているので、4秒ごとに「拾って!」と泣き叫ばれることなく、息子が自分でしっかり握っていられたのも最高でした。
一方で、ウサギの歯固めラトルではちょっと違う経験をしました。美しい木製のリングと編みぐるみのウサギがついていて、子供部屋の棚に飾ると信じられないくらいおしゃれです。でも現実には、生後6ヶ月の赤ちゃんが1時間に大量のよだれを垂らし、練習中の水を時々吐き出したりしていると、あの編みぐるみ素材はキッチンスポンジのようにすべてを吸収してしまいます。あっという間にベチャベチャの悲惨な状態に。ベビーカーの中で濡れずに座っている時に渡すような「可愛いアイテム」としては良いですが、食事中には全く使い物になりませんでした。
離乳食やコップ飲みへの移行期に、他に本当に必要なものは何だろう?と悩んでいるなら、ママをイライラさせない実用的なアイテムを離乳食&手づかみ食べコレクションで探してみてくださいね。
お水なしで猛暑を乗り切る方法
「お水禁止ルール」で一番つらいのは、7月と8月をどう乗り切るかです。気温が30度を超えてシャツが汗でビショビショになるような日は、赤ちゃんに水をあげたいという衝動を抑えるのに苦労します。でも、生後6ヶ月未満なら、母乳やミルクをあげる回数を増やすだけで十分です。赤ちゃんは水分が多くてサラサラした「前乳(飲み始めに出る母乳)」を飲むために、短時間の授乳を頻繁に求めるようになります。

また、赤ちゃんの着せ方を見直す必要もあります。私は初めての育児の最初の1ヶ月間、「赤ちゃんは温かくしてあげなきゃ」と思い込んで、厚手の綿のおくるみで息子をぐるぐる巻きにしていました。いやもう、ただオーバーヒートさせていただけでした。最終的に私はバンブー・ベビーブランケット(宇宙柄)に切り替えました。竹繊維(バンブー)は、安価なベビーブランケットによくあるポリエステル混紡素材とは比べ物にならないほど、温度調節に優れています。通気性が良く、汗をしっかり吸収してくれますし、黄色とオレンジの惑星柄は避けられない母乳のシミを見事に隠してくれました。外側から涼しく快適に保ってあげれば、体内に無理にお水を流し込む心配も少なくなります。
1歳の壁を越えれば、腎臓もしっかり成長し、ミルクを飲む量もぐんと減ります。あとはシッピーカップ(ストローマグ)を渡して、家中に残された水たまりを拭き掃除して回る、そんな怒涛の3年間を過ごすだけです。
脱水症状のサインを見逃さないで
水分摂取量をきっちり測っているわけではないので、「もしかして脱水症状?」とパニックに陥りやすいですよね。でも、何を確認すべきかを知っていれば、医学的なサインは意外とわかりやすいものです。
赤ちゃんの頭のてっぺんにある「大泉門(ペコペコした柔らかい部分)」が一番の指標になります。もし小さなクレーターのように深く凹んでいたら、水分が足りていない証拠です。また、おむつも確認してください。6時間経ってもおむつが完全にカラカラで、赤ちゃんが泣いているのに涙が出ていない場合は、かかりつけ医からの折り返し電話を待っている場合ではありません。おむつバッグを抱えてすぐに救急外来へ向かってください。もう一つの大きなサインは「無気力」です。単に眠いだけの赤ちゃんではなく、まるで12時間の夜勤明けのように疲れ果てて、ちょっかいを出しても目を開けようとすらしない状態のことです。
来週の赤ちゃんの水分補給について完全にパニックになる前に、まずはお手持ちの食事グッズを見直して、カミカミ期を乗り切るためのシリコンカップや歯固めが十分にあるか確認してみてくださいね。私たちの過酷な実体験から選ばれた、本当に使えるお気に入りアイテムは歯固め&お食事コレクションからご覧いただけます。
誰も聞いてないけど教えたい!水分補給のよくある質問
しゃっくりをしている新生児に水を飲ませてもいい?
ダメです。よくおばあちゃん世代がアドバイスしてきますが、全く意味がありません。しゃっくりは単なる横隔膜の痙攣で、赤ちゃん本人が気にする以上に周りの大人が気になっているだけです。どうしても何かしてあげたいなら、母乳やミルク、あるいはおしゃぶりをあげてください。ただの水は、新生児の消化器系の痙攣を治す魔法の薬ではありません。
お風呂のお湯をうっかり飲んじゃったら?
サハラ砂漠を横断してきたかのようにガブガブ飲んでしまった場合を除き、石鹸の混じったお風呂のお湯を数滴間違えて飲んでしまった程度で水中毒になることはありません。あとで吐き戻したり、変にゆるいウンチが出たりするかもしれませんが、濡れたガーゼを3秒しゃぶったくらいなら救急事態ではありませんよ。
粉ミルクを節約するために薄めて作ってもいい?
これだけは、トリアージナースから本気で怒鳴られる行為です。粉ミルクの缶に書かれているお湯と粉の比率を変えるのは絶対にやめてください。水を余分に足すとナトリウムもカロリーも薄まり、低ナトリウム血症や発育不良を引き起こす原因になります。大変危険で、取り返しのつかないことになりかねません。
母乳育児の赤ちゃんは夏場に水が必要?
実は、ママの体はとても賢くできていて、猛暑の時期には母乳の成分を自然に変化させます。赤ちゃんの水分補給のために、水分が多くてサラサラした母乳になるのです。だから水道水を足す必要はありません。ママ自身がソファで倒れないように、ママ自身がいつも以上にたくさんお水を飲むことだけを心がけてください。
生後6ヶ月で水をあげても吐き出してしまうのはなぜ?
なぜなら、お水は「何の味もしない」し、赤ちゃんは母乳やミルクよりも勢いよく流れてくる液体をどう処理していいか分からないからです。少なくとも最初の2ヶ月間くらいは、顎を伝って首のシワの間にダラダラとこぼし続けるでしょう。これはごく普通のことで、ママに忍耐力を教えてくれるための修行のようなものです。





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